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2019/08/27
コラム
無人コンビニの今と未来|中国コラム

無人コンビニと言えば、中国。 2016年12月、米アマゾンが初めてアメリカで「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」という無人コンビニをオープン。その後、無人コンビニマーケットは世界中から注目され、急成長してきました。特に、スマホとインターネットの普及率が高い中国では、無人コンビニは未来を象徴するサービスとして、VCから短期間での資金調達にも成功しています。 この無人コンビニについて、中国の今と未来、日本における今後の可能性についてお話します。

中国における無人コンビニの今

Amazon GOが話題を呼ぶ中、2017年にアリババが中国で無人コンビニ「淘咖啡(タオカフェ)」をオープンしました。その後、Take Go、Bingo Box、猩便利、簡24、F5未来商店などの無人コンビニが相次いでオープンし、一時期乱立状態でした。 一方、シェアサイクルのように、ブームの衰退とともに撤退する事業者も出始めています。そんな中、未だ加速を続ける3社をご紹介します。


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欧尚(オーシャン):コンテナ型の無人コンビニ  

欧尚は、上海で約10店舗展開するコンテナ型の無人コンビニ。WeChatでQRコードを スキャンし、電話番号を入力すると、SMS認証で簡単に入店できます。 決済はWeChat PayとAlipay両方を利用可能。決済が完了すると、自動的にドアが開きます(買い物をしなかった人は、壁にある専用QRコードをスキャンすれば出られます)。


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代表 神谷もCESアジアに合わせて無人コンビニを視察

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猩便利(シンベンリ):無人コンビニ

こちらは、上海で12店舗展開しているコンビニチェーンで、専用のアプリで各商品のQRコードをスキャンすると、レジを通らずにオンライン決済を行なえる仕組みで、「セルフ型」と「店員型」の両方に対応しています。


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F5未来商店:自動販売機型無人コンビニ

上記の2店と異なり、店内に実際の商品は置かれておらず、タッチパネル式のモニターから欲しい商品を注文すると、お店の裏でロボットが商品をピックアップして、自動販売機のように受け取り口まで運ばれてきます。 ラーメン、チャーハン、おでんなどの軽食も販売しており、小売店と飲食店をミックスした業態であることも他社との差別化ポイントとなっています。完全無人化を実現するために、ロボットアームを開発し、フードの調理、ドリンク作り、テーブルの掃除まで全てロボットに任せています。F5未来商店は、広州、深センを中心に展開しています。

無人コンビニの将来

無人コンビニは次世代型のサービスとして注目されてきましたが、本当に将来性はあるのでしょうか? 実際、中国国内でも賛否両論です。中国におけるセブンイレブン、ファミリーマートなどのコンビニチェーンの人件費は、店舗全体の運用費の7%程度しかかからず、代わりにそのスタッフは在庫管理、陳列、決済、顧客まで対応でき、費用対効果が高くなっています。これにより、無人コンビニは無人化によりそこまでの費用を削減できてないのではないかと反論も上がっています。 また、コンビニビジネスは一定の規模(店舗数)がないと収益を上げていくことが難しい事業です。ファミリーマートは中国進出後10年かけて、2014年にようやく店舗数1,530店を突破し黒字化しました。現在の無人コンビニチェーンはその規模に到達し、黒字化するのは難しいのではないかとも言われています。

一方、テクノロジーの発展に従い、無人コンビニでの買い物体験をますます快適化させる事例も出てきています。 大手家電量販店の蘇寧電器は、顔認証とRFID(無線通信によって情報をやりとりする技術)を組み合わせ、店を出るときに決済ルートを通過すれば、自動的に来店客を識別して決済を済ませてくれ、入店から出店までスマホを出す必要すらなくなりました。また店内に設置されたカメラで来店客の行動も分析できて、どの客さんがどの商品を購入したかまで正しく判別できます。例えば、お客さんが店内で商品のアイスを食べてからお店を出ても、アイスはお客さんが購入したと認識され、自動決済になります。まさに未来的な買い物スタイルだと言えます。


蘇寧電器1

蘇寧電器2

ちょうど今月、中国のスーパーチェーン世紀聯華(シーキレンカ)が大手通信会社のチャイナモバイルと協力し、杭州の無人コンビニ9店舗で5Gを導入しました。無人コンビニの基盤はスマホとオンライン決済です。通信スピードを速めることによって、ユーザーの買い物体験はさらに効率的かつ安全になります。

世紀聯華や蘇寧電器の事例のように、無人コンビニやショップはどんどん進化していて、明るい未来があるという意見も少なくありません。無論、いち早くどのように黒字化させるかということは無人コンビニの運用上検討せざるを得ない課題だと思います。

日本における無人コンビニの可能性

前文でも説明しましたが、無人コンビニの基盤はスマホとオンライン決済です。スマホとオンライン決済の普及率がまだまだ低い日本では発展しないのではという論調もありますが、人手不足が深刻化する日本の状況を見ると、人員を削減できる無人コンビニこそが切り札になるのではないでしょうか。

この最近は、PayPay、Apple Pay、AirPAYなど、相次ぐ各社のキャッシュレス決済サービスの投下と大々的なプロモーション活動により、徐々にオンライン決済を利用する人たちも増えてきています。そうなると、無人コンビニが普及していく日も近いのではないかと個人的に感じています。

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