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2020/01/21
コラム
最新成功事例 〜NIKE House of Innovation 001〜|中国コラム

過去の成功事例から最新トレンドやその裏にある生活者インサイトを洞察することもPRスキル向上に欠かせないポイントです。今回は、中国の最新事例を一つピックアップしてご紹介します。

2018年11月にリニューアルオープンした上海のNIKEショップ「NIKE House of Innovation 001」は、オープンと同時に注目を集め、一年以上たった今でも人気スポットとして話題となっています。ネット通販が台頭するこの時代に、なぜこのようなリアル店舗が人気を集めているのでしょうか。


○ポイント➀:顧客ロイヤルティの向上

3階の「NIKE BY YOU」コーナーでは、ベースのスニーカーに色やスタイルを組み合わせて自分だけのオリジナルスニーカーを作ることができます。また、会員向けに、プレミアムカスタマイズサービス「NIKEiD BESPOKE」の提供もあり、完全予約制でスポーツ、フィットネス、ファッションの3の領域における専門家による1対1のスタイリングサービスを体験できます。


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女性のフィッティングルームでは、自然光、スポーツジム、ヨガルームの3つのシチュエーションにあわせた照明が用意され、それぞれのシチュエーションにあわせて洋服の見え方を比べらながら自分好みの一点を選ぶこともできます。

生活スタイルの多様化が進む中、それぞれのニーズにどう応えていくか悩みを抱える企業も多いと思います。NIKEのようにユーザーの立場からニーズを導き出し、カスタマーが求めるサポートやおもてなしは重要なポイントだと言えます。


○ポイント➁:O2Oの活用

商品は、横に設置されたQRコードをスキャンしてNIKEのECサイトからオンライン決済で購入します。つまり、商品の販売は店頭ではなく、オンライン上に設定し、オフラインからオンラインに送客導線を設計しています。また、前文でご紹介したカスタムメイドやスタイリングのサービスは、ECサイトのCRMシステムを通じて、事前予約制とすることで、オンラインからオフラインへの送客につなげています。


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このように、チャネル間の連携により、意識や行動の異なる多様な見込み客を囲い込むことも非常に有効的と考えられます。


○ポイント➂:インタラクティブ

店内で目を引く4階立ての巨大LEDスクリーンは、様々な情報発信やインスタレーション、インタラクティブゲームコンテンツとしても活用されています。実際にNIKEのスニーカーを試着して体験できるゲームは、床のスクリーンを踏み込んだり、走ったり、スニーカーのはき心地を体感しながら楽しめるNIKEらしい演出を実現しています。結果はランキング形式で表示され、また来店したくなる動機付けにもつなげています。


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○ポイント➃:ローカル化

数年前からNIKEはローカル化に力を入れています。去年7月には、地域特有の顧客ニーズに対応したサービスや製品を提供する新コンセプトストア「NIKE Live」をロサンゼルスでオープン。ローカルの生活者が求める商品を生産・販売しています。これに続き、上海の「NIKE House of Innovation 001」でも、ここでしか手に入らない「上海野路子」シリーズの展開や上海マラソンをイメージしたスニーカー、限定Tシャツなどをラインナップし、希少価値向上に取り組んでいます。


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お店のデザインには、上海伝統の建築「石庫門」をモチーフに取り入れ、地元ならではの演出で来店客を楽しませます。


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以上ご紹介した4つのポイントのほかにも、NIKEの高い技術を紹介するディスプレイを設置するなど、NIKEらしさをアピールする工夫が所々に散りばめられています。

ネット通販は、リアル店舗に比べて場所代や内装、人件費などのコストも大幅に削減できることからリアル店舗の運用に悩みを抱える企業も多いと思います。そんな中、今回のNIKEの事例は、オンラインとオフラインの融合で新しい時代の顧客体験を提供しています。

ネット通販が主な購買ルートである時代ほど、生活者は実際の商品に対する体験需要が大きくなります。したがって、リアル店舗はただ商品を販売する場ではなく、生活者に商品とブランドの体験を提供する場なのではないでしょうか。中国で店舗を開設することを考えている企業様は、ぜひこの角度からブランドチェーンと販売チェーンにおけるリアル店舗の機能と立ち位置を検討してみてください。

今回は以上となりますが、引き続き最新事例をお届けできるようにトレンドを追いかけていきます!

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